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アラフォーからの挑戦状。

『ベルベル語を学べ!』の巻

前回のあらすじ

ポルトガルを後にし、新天地アフリカへ足を踏み入れたアラフォーマン。
ところが、モロッコ現地の言葉であるはずのアラビア語は、まったくと言っていいほど通用しない。
「くっ、まだまだ理解力が足りないというのか…!」
己の実力不足を悟ったアラフォーマンは、再びアラビア語力を向上させるべく自己研鑽の日々を送る。しかし待ち受けていたのは衝撃の事実だった…。

ベルベルな人たち

「私たちが普段話しているのはベルベル語です。
アラビア語ではないんだよ」
カフェレストランの店主は、僕にそう教えてくれました。

なんだ。道理でいくらアラビア語の学習を続けても一向に理解力が改善しなかったわけです。

そういえば、街中で少し見かける記号みたいな文字があります。もちろん全ての文字は記号なんですけど、より記号的な文字です。

小学校だと思われます
学校ではなさそうだけど、学童保育所みたいなものでしょうか?

この文字、街中に氾濫してるわけではありません。基本はアラビア語、レストランやホテルは観光客向けにフランス語という調子で、ベルベルの文字(ティフナグといいます)は限られたところにだけで使われてます。

この文字を全然見かけないものだから、ベルベルはてっきり少数民族への配慮でおまけ程度に書かれてるだけだと思っていました。まさかこの地方の第一言語だったとは。

ベルベル語の学習素材を探せ!

そうとわかれば話は早い。僕の選択肢は1つ、ベルベル語を学ぶだけです。
それが例えこの地方だけの言葉でも、この地方の人に挨拶するために、僕はその言葉を学びたいのです。

早速インターネットで検索です。グーグル先生は何でも知っていますからね。本当便利な時代になったものです。

『Berber language learning』で検索、と。

すると、出るわ出るわ関係のない情報が。
あれ、これ、ベルベル語学習のサイトじゃなくないですか?

ふぅむ?もしかして Berber と打ったのが良くなかったのでしょうか。
Berber は英語での呼称で、ベルベル語では Tamazight (ⵜⴰⵎⴰⵣⵉⵖⵜ)と呼ぶらしいです。『Tamazight learning』で検索、と。

……駄目です。大したサイトは出てきません。
他にもいくつかキーワードを変えて試してみたのですが結果は同様でした。どうもベルベル語を独学できるようなサイトはインターネットには転がっていないようです。

一応、全くのゼロではないというか、いくつかちょっとしたサイトは見つけました。
ひと欠片だけの情報だったり、ティフナグ文字を使わずラテン文字やアラビア文字だけで表記していたり。音声など付いているはずもなく。とてもまとまっているとは言い難い資料です。

他のメジャーな言語を学習してるときだったら「僕が欲しいのはこれじゃないな」と、見向きもしていなかったでしょう。
でも、これしかないのなら…?

うーん、仕方ない。背に腹は代えられません。この資料を使って挑戦してみますか。

ツギハギだらけの資料で学べ!

そうして、半ばやけくそ気味に勉強を始めました。
途切れ途切れの情報だって、こちらで綴りを確認して、そちらで音声をフォローして、あちらで文章に落とし込めば、きっと何とかなるかもしれません。何とかなるかもしれません。何とかなるかもしれません。

何とかなるかもしれません。

何とかなるかもしれません。

ナントカナルカモシレ――。

なりませんでした。

(学習素材を公開してくれているみなさまへ)

(記事の中ではボロボロに言ってしまいましたが、自身の知る情報を、何の見返りも無しに多大な労力を払った上で不特定多数に公開してくれた諸氏には多いに感謝しています。ありがとうございます!)

マイナー言語の現実を悟れ!

細切れの、一貫性のない乱雑で、そもそも正しいかの信頼も置けない情報を寄せ集めて学ぶという、やってることはまるで古代言語を研究する言語学者みたいです。研究の先にたどり着けるものが未知であるか既知であるか、ただそれだけの違いです。

徒労感がすごい。これだけの労力をかけて、一体どれだけ身になるのだろう。
そう思うと僕にはできませんでした。

ベルベル語は諦めましょう。情報インスタント社会の現代人には、ネットで得られる情報だけが現実です。ネットに存在しない情報は、現実に存在しないも同然なのです。

「ベルベル語なんて幻さ。寝ぼけた人が、聞き間違えたのさ。」
こう自分に言い聞かせ、僕は学習ノートを閉じました。

この話には続きがあるかもしれませんが、とりあえず今日はこの辺で。

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