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アラフォーからの挑戦状。

カザフスタン(4) ヌルスルタンの夜

2019年7月1日(月)

迷いながらも何とかヌルスルタンの宿にたどり着いた僕。
飛行機で隣席だった男アリックとヌルスルタンで会おうと話していたけど、時刻は既に22:40になっていた。今から会うのはいくらなんでも遅すぎるだろうか。

ここへおいで

携帯電話でアリックにメッセージを送る。見知らぬ土地でSIMカードを華麗に使いこなす自分がちょっとかっこいい。最新の技術を使っているとなんだか少し若返ったような気がする。

「ごめん、だいぶ遅くなった」
「今どこだ?」
「ヌルスルタンの宿にチェックインしたところ」
「そうか。じゃあ、ここに友だちといるから来なよ」

送られてきたメッセージに書かれていた店名は「hookah bar, TIME TO SMOKE」とある。
hookah bar?なんだろうこれ。よくわからないけど、ちょっと怖いな。怖いけどまぁ、行ってみるか。

タクシーを捕まえろ

それより問題は場所だ。宿からおよそ10km。時間が遅いのでもうバスは走っていないし、歩いては到底たどり着けない。

どうしようかと迷っていると、タクシーを使えばすぐさ、とアリックに言われた。
そうか、タクシーか。考えていなかったな。よし、僕のポリシーには反するけど、たまにはタクシーも使ってみよう。

大きな通りへ出てタクシーを探す。しかし全然走っていないんだ。しばらく待っている間に1台2台は見かけたが、結局停まってもらえない。あっという間に20分以上が過ぎていた。

「ごめん、タクシー捕まえられそうにない。というか全然見かけない」
「とにかく手を挙げて立ってな。すぐに捕まる」

とにかく手を挙げて?そもそもタクシーがいないのに、どうしろと言うのだろう。
よくわからなかったが、言われた通りに手を挙げて道路脇に立ってみた。すると僅か30秒、1台の乗用車が目の前にすっと停まった。

なるほど、そういうことか。ここでは正規のタクシーじゃなくても一般自動車が小遣い稼ぎにタクシー業をやっているんだな。
電卓を片手に値段交渉をして、1,000テンゲ(約300円)で送ってもらう。

It’s a time to smoke

日付がちょうど変わる頃、目的の店にたどり着いた。外観はとても普通だ。良かった、怖いところではなさそうだ。

アリックが店の外に迎えにきて、目を細めて再会を喜んでくれた。これだけ喜んでくれると嬉しい。来て良かった。
初めて会ったのが今日だというのに、何だかもう随分と前のことに感じた。

席ではヌルスルタンに住んでいるアリックの友だちが待っていた。気さくな兄ちゃんで、そこそこぽっちゃり体型だ。僕も混ざって一緒に話した。
このぽっちゃりくんは英語が全くできないので苦戦したけど、アリックに助けてもらいながら、少しは話すことができた。やっぱりたどたどしい会話がすごく楽しい。

そうそう、店名のhookah barって何のことかと思っていたけど、どうやらアラブで人気のシーシャ(水タバコ)のことみたい。日本でもシーシャバーは結構見かける。

シーシャをふかすアリック 様になってます

僕はそれまで体験どころか見たこともなかったのだけど、せっかくの機会なので挑戦してみた。うん、煙だな。
特に美味しいとは感じないけど、そんなに悪くない。普通のタバコよりずっと吸いやすい。

軽い感じで吸っていると、「本当の吸い方はそんなんじゃないよ」と駄目出しされた。アリックが実演する。
おおっ、泡の出方がすごい。ブクブクいっている。沸騰を始めたお湯の様だ。

「さぁ、やってみな」と言われ、恐る恐るながらも深く吸い込む。おっ、ブクっとなった。よし、今度は思いっきりーー

げほっ、がほっ!
うぅ、むせてしまった。喉に煙がやってきた。
アリックもぽっちゃりくんも腹を抱えて笑っている。ちくしょうめ。

25時を回る頃、そろそろ行きますかという流れになった。オーケイ、楽しかったよ。それじゃあ行きましょう。

アリックが言う。「これからぽっちゃりくんの家で奥さんのディナーをご馳走になるんだ。一緒に行こう」
え、これからお宅にお邪魔するの?もう深夜も深夜、テレビだって砂嵐になるような時間でしょう。いいのかな。
ちょっと迷っていると、ぽっちゃりくんが背中を押した。「そうだね、ウチで食べていきなよ。奥さんの料理は美味いんだぜ」

それじゃあ、どうも、お邪魔します。

お宅訪問

hookah barを後にした僕らは、タクシーで5,6分行った先のアパートに来ていた。ぽっちゃりくんのお宅だ。

おいしい食事をいただきました

部屋に入ると奥さんが料理を準備していた。通常、家では髪を隠さないと思っていたけど、しっかりイスラム教のスカーフをしている。僕らが来るからだろう。確か、家族以外の男に髪を見せちゃいけないことになっていたはずだ。

なんでそんなにスカーフのことを気にしたかというと、この後イスラム教についての話が始まったからだ。
美味しく料理をいただきながら、アリックたちは熱っぽく語る。いかに神が偉大か、イスラム教の経典コーランがどれだけすごいか。

その話は面白かった。コーランもいつか読んでみようと思った。

ありがとう。すごく参考になった。
だけど、僕が特定の教義に染まることはないかなと思う。価値観を自分の外に委ねるというのはとても怖いことだから。

30分ほどして、僕はホステルに帰ることにした。二人で話したいこともあるだろうし、僕がいては気を遣うだろう。それに、カタコトの会話も十分満喫した。大満足だ。

明日の夜にはトルコ入り。もうロシア語を使う機会もないだろう。

今日は4週間の成果をテストするかのような1日だったな。
本当に楽しかった。ありがとう。
それではお二人さん、Спокойной ночи! (穏やかな夜を!)

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