だだっ広い公園の中で

僕は公園が好きだ。何もないときには公園に赴く。

日本にいるころから、休みの日には公園で時間を過ごしていた。一度家に帰って、ご飯を食べて、夕方にまた訪れることもあった。

海外に出てきて、その傾向に拍車がかかったように思う。
中国へ降り立って、気持ちがささくれていたときも公園に行った。カザフスタンを飛び立つ前に、小雨の降る公園をしきりに歩いた。ブルガリアの片田舎で、何日も同じ公園で本を読んだ。ウクライナでは、大きな良い公園があると聞いて泊まる宿を近くに決めた。

キルギスにいるとき、ロシア語の先生にいつもこう聞かれた。
「昨日は何をしましたか？」
僕は決まってこう答えた。
「昨日は公園に行って、その後に、――」

先生は、苦笑しながら、「あなたは公園にばかり行っているね」と言う。「同じところばかりじゃ、会話の練習にならないよ」と。
そんな先生も、「キルギスの好きなところを教えてください」という質問に、「綺麗な公園がたくさんあるところ」と答えたときは満更でもない様子だった。

「アラフォーマンは公園に行って何をしているの？」と聞かれることがある。公園に行っても、何もすることなんてないじゃないかと。

何もしなくても良いんだ。
だから、落ち葉の積もる土の上を歩いても、木陰に腰掛けマンガを読んでも、ベンチでスナック菓子をむさぼっても、餌をねだる鳩とにらめっこをしても、携帯電話でネットを見ても、芝生の上で大の字になっても、何をしても良いんだ。そして、いつの間にか眠りに落ちても。

僕はこれからデンマークに渡る。フォルケホイスコーレに行くために。
森の中の学校。そこで暮らす。
わくわくが、止まらない。

アラフォーマン

歳はアラフォー、性別は男。風薫る季節、北の大地で生を受ける。家庭なし、収入なし、計画性なし。まだ知らぬ場所での生活にあこがれて旅立ってしまったアラフォーマン。
2019年5月に日本を離れ、デンマーク、リトアニア、ジョージアなどで学校に通ったりしながら過ごす。2024年9月現在、日本語を教えるボランティアとしてベトナムに滞在中。
好きなもの：公園、散歩、ジャグリング
苦手なこと：料理、おしゃれ、あと泳げません