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アラフォーからの挑戦状。

どこに連れて行ってくれるのかな

セブ旅行3日目です。昨日はカモテス諸島というところに来てみました。ほとんど移動だけで終わってしまった2日目。今日も観光らしい観光はしていません。それではいってみましょうヒアウィーゴー。

カモテス·ポロな3日目

カラオケ目覚まし

フィリピンの人はカラオケが大好きなようで、道を歩けばそこかしらから気持ちよく歌っている声が聞こえてきます。良いですね、この文化。フィリピンの言葉で歌っているのも趣があって素敵です。

さて、宿のベッドで夢の中をふわふわしていた頃、突如隣家から爆音と共にカラオケが始まりました。おお、美声だけど······今何時だっけ。

時計を見ると午前6時です。えーと、ちょっと早くない?それもライブ会場にいるような音量です。おかげさまですっかり目が覚めました。

片桐はいりさんのエッセイでそんな描写がありましたね。あれは確かカンボジアでした。毎朝、近所のカラオケで目覚めるので、おかげですっかり早起きになったと。こういうことだったんですね。

歌が上手なので、悪くない寝起きです。後ろではニワトリが張り裂けんばかりにコケコッコーと繰り返し、小鳥もチチチチと合いの手を入れています。

ポロに歩く

さて、セブの東の海の、カモテス諸島のパシハン島に来ています。この島から隣のポロ島へは陸路でつながっているとのことです。せっかくなので歩いて行ってみましょう。

やはりというか当然というか、この道を歩いている人は1人も見当たりません。みんな移動はスクーターなのですよね。そんな中歩いている僕は目立つのか、追い越していくスクーターに「乗っていくか?」と声をかけられたりしました。ありがとう、でも大丈夫。少し歩いてみたいんです。

2キロほどの連絡道路の終わり近く、ふいに看板が目に入りました。「ENTER FEE 10 PESOS」という看板の横には川の上にかけられた道。これは一体なんでしょう。好奇心が止まりません。

10ペソの橋
ポロ島の入り口には謎の散歩道

足を踏み入れてみると、竹の上に板を渡しただけのその橋のなんと心許ないことでしょう。隙間だらけで川面が目に入ってきますし、いつ板が抜けてもおかしくない雰囲気です。でもそれが良いんですよね。不安定さに心たかぶります。

少し歩くと、残念なことにその先は通行止めになっていました。どうやら本当に板が外れてしまったようで、目下おじさんが修復中です。あれ、これって本当に危ないやつですね。「でもそれが良い」とか言ってる場合じゃないです。平和ボケしていました。

崩れた橋
橋がさわやかに崩れてます

飯屋がどこにも見つからない

ポロ島に渡りしばらく歩いていると、何もない道路の脇にポツンとあった小さな商店が目にとまりました。

そう言えば昨日カモテスに来てから何も食べていないんですよね。レストランがどれだかわからないんです。とても田舎な、よく言えば和やかな島で、もしかしてここにはレストランなんて無いんじゃないかとまで思えてしまいます。

よし。この商店は食べる用の店ではなさそうですけど、何か食べられないか聞いてみましょう。とにかくお腹が減ったんです。

「すみませーん」

何か食べるものないですか?ーーパンならあるぜ。プレーンなやつだ。

お肉とかありますか?ーーあるぜ。この缶詰めの肉はイケるぜ。

飲み物もあればいただきたいです。ーー粉末ジュースで良いか?オレンジ味だ。

という訳で1日ぶりの食事にありつけました。締めて60ペソ(約130円)です。現地の人がこんなご飯を食べているかは知りませんが、旅情満載で悪くありません。うん、味も悪くない。あとは野菜があれば完璧ですね。

昼食
美味しそうに見えるでしょうか

ご飯を食べながら雑談をして、ちょっとビサヤ語を教えてもらいました。おはようはマヨブンタン、こんにちははオットー、こんばんはがマヨガビーらしいです。よし、次にすれ違った人に使ってみます。ありがとう、ごちそうさまでした。

乗りなよ、連れていくぜ

さらに歩いて進んでいると、スクーターのおっちゃんに声をかけられました。

おっちゃん「どこに行くんだい?」

僕「ただ歩いているところです。ここは良いところですね」

おっちゃん「そうだろう。よし、後ろに乗りなよ。良いところに連れていくぜ」

そうですか、ありがとうございます。ではお言葉に甘えて失礼します。···ん。このおっちゃんだいぶお酒くさいですね。やや戸惑いを覚えますが、そんなことはお構いなしにスクーターは走り出します。

おっちゃん「で、どこへ行くんだ?」

僕「えっと、目的地は決めていません」

おっちゃん「よし、良いところに連れてってやるぜ」

なんか会話がループしたような。まぁ、お互い馴れない第2言語の英語でやり取りしているのでそういうこともあるでしょう。さぁ行きましょうヒアウィーゴー。

運転中はたわいない会話でー、と言いたいところですが、なかなかうまく会話ができないんですよね。相手の顔が見えないし、ジェスチャーも使えないし、風の音が聞き取りの邪魔をします。僕ら2人の英語力の拙さも相まって、なかなか意思の疎通とまでいきません。

「ペラペラペラ」「ソーリー?(聞き取れなかった)」「ペラペラペラ」「ソーリー?」そんなやり取りを繰り返すうち、おっちゃんの発言に変化が表れました。

「I can’t understand you, but I love you」

おお、OK。えっとそれって、キリスト教的なあれですよね?汝の隣人を愛せよみたいな。はは、サンキュー。

にしてもおっちゃん、ちょっと運転がふらふらしてはいませんか?フィリピンは右側通行ですよね。なのに走行位置は右車線というよりど真ん中ですし。それに右カーブのとき左側にまでふくらんでますよーーおおおおおっっ!今!危なかった!対向車が避けてくれなかったら確実にぶつかっていた!

うーん、どうやらこのおっちゃん少し危なげです。もうすでに10分以上は乗っていますが、早めに降りた方が良いかもしれません。目的地に到達する前の合意なき離脱も考えておきましょう。

ところが、離脱しようにも、この島には信号が無いんですよね。スクーターに乗ってからここまでノンストップです。となると走行中の状態から脱け出すことになりそうですね。だいたいどのくらいの速度で走っているのでしょうか。

ちらっとフロントパネルを覗きみます。そこには速度メーターがあって、目盛りが振ってあります。あーなるほど、針は付いていませんね。針が無いと速度はわかりませんね。ええ、速度がわからなくたって走行に支障はありませんよね。制限速度もこの道路には設定されていなさそうですし。

というかそれより気になったのは、ハンドルの下の配線です。それって見えていて良いんでしたっけ?隠しておきたい何かがむき出しじゃありませんか?故障の度に自家製で修理を繰り返したのでしょうか。歴戦を共にくぐり抜けた仲間感が半端ないです。それもスクーターに対する愛情の成せるわざでしょう。

さて、そんな愛情を見せ付けられて、いよいよ降りたい気分が高まってきました。緊急離脱でケガをするかもしれませんが、それはこのまま乗り続けても変わらない気がします。降りられるタイミングを探しましょう。

と、決心したその直後、スクーターはおもむろに速度を落とし、その場に停止しました。おっちゃんは聞きます。「ここはどうだい?」と。

山の中で、特に見晴らしがあるわけでもなく、普通に車の通る道路ですね。なんでしょう。自然はいっぱいの良いところかもしれませんが、逆に問いたいです。「ここはどこだい?」と。

帰り道で見かけた看板
帰り道で見かけた看板

でも、穏便にさよならするチャンスです。良かった。ありがとうと告げてバイバイします。結局、おっちゃんは悪い人ではなく、ただ多分少し酔っ払ってたということでしょう。おっちゃんまだ「I love you」と言っていますが、それってきっとキリスト教的なやつですから。神は全てをお許しになります。

さて、一つの大きなイベントが去り、小さな問題だけが残りました。ここは一体どこなのでしょうか。

帰り道もスクーターに乗って

その後しばらくその辺をうろうろしていました。途中昼寝をしたりもしましたが、トータル4時間ぐらい歩いていたでしょうか。特に見所も見つからず。ウシとヤギとニワトリだらけのこの世界です。

あーまずい、日が暮れるかもと心配になってくるころ、通りがかった地元のあんちゃんに声をかけられました。何しているんだ?と聞かれたので迷っているんだと言うと、じゃあ乗りなよ。送っていくよと。

おかげさまで無事に宿までたどりつけました。ついでに地元の料理屋も紹介してもらいました。ありがとう。

載せてくれてありがとう
このスクーターで街まで送ってくれました

さて、明日はどうしましょうか。カモテスも満喫したし、1度セブに戻ってみるのも良さそうですね。それではおやすみなさい。

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