言葉遊び
カタールからの留学生が言った。
「新しい言葉、覚えました」と。
何を覚えてきたの?と尋ねると、”言葉遊び”という単語を覚えましたと。
ニッチな言葉を覚えてきたね。
「アラフォーマンも何かあります?言葉遊び。教えてください」とせがまれた。
うーん、こればかりはちょっと難しい。だって言葉遊びはその言語に精通していないと意味がわからないものだから。外国語を翻訳するときに最も大変なのはユーモアだって先人も言っている。
なんとか日本語でのコミュニケーションが成り立つ程度の相手にもわかるような言葉遊びって何かあるかな。単純な方が良いよな。
少し考えたのち、僕は言った。
「アルミ缶の上に……
息を呑む留学生。刻まれる秒針の音。
「あるミカン!」
留学生「!!!!!」
一瞬の沈黙。何かを考える顔。
僕が言った言葉を口の中で反芻している。
そして気付いた!その言葉の持つ意味を!
留学生「アルミ缶、上に! あるミカン! アルミカン!!!」
急にテンションが振り切れるほど、予想以上に気に入ったご様子。アルミカンアルミカンと繰り返す。
ダジャレはアラブへも通じた。アルミカンは海を越えた。
カタール人はその言葉を何度も口にして余韻を楽しんだのち、満面の笑顔で褒めてくださった。
「こんなのできるなんて、アラフォーマン、すごいネ!!」
喜んでくれるのは嬉しいけど、こんなレベルで褒められるとちょっとばかり恥ずかしいよ。
歳はアラフォー、性別は男。風薫る季節、北の大地で生を受ける。家庭なし、収入なし、計画性なし。まだ知らぬ場所での生活にあこがれて旅立ってしまったアラフォーマン。
2019年5月に日本を離れ、デンマーク、リトアニア、ジョージアなどで学校に通ったりしながら過ごす。2024年9月現在、日本語を教えるボランティアとしてベトナムに滞在中。
好きなもの:公園、散歩、ジャグリング
苦手なこと:料理、おしゃれ、あと泳げません