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アラフォーからの挑戦状。

川の底にてお茶を飲む

こんにちは、アラフォーマンです。
みなさんお茶は好きですか?

2022年12月23日

いつもの散歩

モロッコはいつもの様に太陽が照り、今日もポカポカ陽気です。
こんな日に部屋にこもるなんてもったいない。1.5リットルの水のボトルをリュックに積めて、アラフォーマンは散歩に出かけました。

「さて、今日はどこを歩こうかな。」

と言っても、さして選択肢はありません。道を歩くか、道を外れて歩くかだけです。もう少し刺激もほしいものです。

とりあえず、近場の丘の上の廃墟に行ってみました。ここからは町が一望できます。たまに訪れるには良い場書です。

「おや、こんなところに道があるぞ?」

アラフォーマンは廃墟の裏に誰かが通った細い跡を見つけました。この跡はどこに繋がっているのでしょうか?
好奇心が芽生えたら、迷う理由はありません。アラフォーマンは早速その跡をたどり始めました。

1時間ほど歩いたころ、いくつかの家が見えました。

「あぁ、ここはもしかして……やっぱりここだね。」

アラフォーマンはそれらの家々に見覚えがありました。
実は、この村に来たのは初めてではありません。数日前にもここを通っていたのです。その時はもっと広い道から来ていましたが。

「ふむふむ。あの道はここに繋がってたのか。
よし、今日はこの辺で帰るとしよう。」

手を振る男

さて、家に戻ろうかと踵を返したその時、ふと声が響きました。

「おーい、おーい。元気かーい」

辺りを見回すと、建物の陰で赤い服の男が手を振っていました。
男はどうやらアラフォーマンに向かって話しかけているようでした。よくわからないけど、とりあえず行ってみます。

男「ハーイ。どこから来たんだい?」

ア「日本からだよ。」

男「今日はどこに行くんだい?」

ア「この辺を歩いて、今は町に帰ろうとしていたところだよ。」

男「じゃあお茶を飲んでいくといい。準備をするから、少し待っておくれ。」

そう言って男は家に入っていきました。アラフォーマンは成り行きでお茶をいただくことになったようです。

お茶を飲みに行きましょう

5分ほどして男が出てきて言いました。

男「さあ行こうか。」

おや。
てっきりお宅でお茶をご馳走になると思っていましたが、どうやらどこか別の場所へ向かうようです。
この近くにカフェなんてあるわけもないのに、まったく妙な話です。

ア「どこへ行くの?」

男「川だよ。そこでお茶を沸かして飲む。」

なんと。アウトドアとは洒落ています。
というか、この辺にも川があったのですね。

アラフォーマンはまだここで川を見かけたことがありませんでした。きっと地元の人だけが知っている小さな川でもあるのでしょう。
アラフォーマンは、ワクワクしながら男の後ろを追いました。

数分歩いたところで、男が前を指差し言いました。

男「あれが川だよ。」

え、どれのことでしょう?
アラフォーマンにはまだ川が見つけられませんでした。川のせせらぎも聞こえてきません。

またしばらく歩いた後、男は振り返って言いました。

男「ここが川さ。」

ようやくアラフォーマンは理解しました。
川と呼ばれるその地形には、一滴の水すら流れていませんでした。うねる川岸の形と、川底の丸まった石たちが、在りし日の姿を思わせます。

男「さぁ行くよ。」

そう言って、男は川底を歩き始めました。

川と呼ばれる地形

川底のお茶会

10分、15分……男はひたすら歩きます。
歩くことには自信のあったアラフォーマンでしたが、川底の石は足の裏への刺激が強く、だんだんと着いていくのも苦しくなってきました。

アラフォーマンが弱音を吐きそうになったとき、男が「着いた。」と言いました。
そこにはお茶を沸かした形跡が残っていました。どうやら男のお気に入りのお茶スポットのようです。

男は慣れた手付きで木の枝を集め、あっと言う間に火を起こしました。カラカラに乾ききった枝たちは、新聞紙よりもよく燃えます。

男はヤカンに茶葉を入れ、水を注ぎ、火に掛け、そして砂糖の塊をドボドボドボと加えました。豪快に加えた砂糖の量で、砂糖の香りさえ漂よってきそうです。

ア「砂糖、そんなに入れるの?」

男「これがベルベルのお茶だよ。甘くなけりゃお茶じゃあない。さあ飲みなよ。」

男からグラスを受け取り、アラフォーマンはお茶を飲みました。疲れた体に染み渡ります。

水の無い川底でお茶を飲む。
甘い甘い味でした。

甘い甘いお茶

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