痛風にかかったようだ
金曜の夜の時点では何も異常はなかった。
友人との待ち合わせの時間に少しギリギリだったから、軽く駆け足で向かった。友人宅で話をして、帰り道でファーストフードを買って公園のベンチで食べて帰って寝た。
発症の土曜日
異変を感じたのは翌朝起きた時のことだった。唐突に、左足が何だか痛む。
なんだなんだと患部を手でまさぐり、痛みの出どころを探る。
ふくらはぎ、問題ない。足首、問題ない。かかと、足の甲、問題ない。足の指、問題ない…?
足指、触っても別に痛くない。だけど、何だか少し変な感じがある。
指をくいっと曲げてみた。ん、痛ってぇな。患部はここか。
今まで僕はかかったことがないのだけれど、足の親指の付け根、この部位が痛む病気を聞いたことがある。痛風だ。
痛風とは
痛風について簡単に説明する。
食べ物に含まれるプリン体を分解したり、激しい運動をしたときに体内で尿酸と言う物質が生成される。通常この尿酸は尿を通して体外に排出されるのだが、排出が追い付かなくなると血中の尿酸濃度が高まり、次第に結晶化する。この結晶は人体にとって異物であるので白血球が攻撃を加える。その時に生じる痛みと症状が痛風という訳だ。
ホルモンなど身体のメカニズムの違いから女性は尿酸が溜まりづらく、発症者は99%が男性らしい。患者の多くは30代から40代だそうだ。
どうもこんにちは、アラフォーマンです。
大したことはない
痛風と言う病名は、「風が吹いただけで痛い」ということが由来になっている。それだけ痛みが激しく、刺激に敏感だということだ。
僕の場合はと言うと、そこまで大したことはなかった。手で触っても大丈夫だし、立つだけなら問題ない。痛みを我慢すれば歩くこともできた。さすがに歩行速度は普段よりだいぶ遅いけど、買い物にだっていける。
大体、大げさなんだよ。「風が吹いても痛い」なんて言って、同情を誘おうって魂胆でしょ?
確かに痛いは痛いけどね、大騒ぎするほどでもない。アラフォーマン、そこまで軟弱な男じゃないっす(笑)
というか、そもそもこれが痛風じゃない可能性もある。そもそも病院に行ってないから確定できない。足の親指=痛風 は、ちょっと早合点過ぎたかな。
ま、いずれにせよ、このぐらいなら様子見で大丈夫でしょう。
それじゃ、おやすみ。
明日は昼から田舎へドライブなんだ。楽しみだな。
2日目の日曜日
時刻は草木も眠る午前3時半。もちろん外はまだ真っ暗。鳥の声も聞こえない。
僕はベッドの上で、暗くて見えない天井に向かって目を見開いていた。全身からの脂汗が止まらなかった。
突然のアタック
夜中に不意に目が覚めたのは足の痛みによるものだった。数時間前と状態が変わっているのは明らかだった。
その痛みはリズムを刻んで襲ってくる。どうやら脈拍と連動しているようだ。心臓が血液を送り出す度に、足からのうねりが全身を駆け抜けた。
呼吸が不規則になる。息を呑んでは、深く吐き出して、吐き出している最中にまた息を呑んだ。
一体どうすればこの感覚に鈍感になれるのか。
足を動かそうと僅かに、ほんの少し力んだだけで、体からシグナルが届いた。「やめておけ」という明確なメッセージだった。寝返りすら打てなかった。
やばい。ここから動けない。
暗闇の中で手を伸ばした。幸い、スマートフォンはぎりぎり手の届く位置にあった。
痛風とは その2
痛風の発作は明け方に起こりやすい。
発作から24時間後が痛みのピーク。
痛風のサイトを辿ると、上記のような記述があった。
患部は炎症を起こし腫れるなんてことも書いてあった。
いや、でも昨日は何ともなかったはずだ。恐々と触ってみると、今は確かに少し腫れていた。
痛風になりやすい生活
痛風は、美味しいものをお腹いっぱい食べている人がかかりやすい病気だ。別名「贅沢病」とも呼ばれる。
でも、実は僕、それには全然当てはまらない。嗜好がすっかりかけ離れている。
まず、お酒。アルコールは尿酸の排出を妨げるので良くない。
僕はお酒をほとんど飲まない。2020年に入ってアルコールを飲んだのは2日だけ。酒好きの友人を訪ねたときに付き合いで乾杯したのと、道を歩いていたら家に招待されて昼食をごちそうになったときだけだ。
次に食べ物。動物性の食事、特にレバーや海鮮などがプリン体を多く含む食材とされている。
肉は適度に好きだが、レバーやホルモンは嫌いだ。エビなどの甲殻類も好まない。そもそも、3月からのコロナ自粛中はずっとパスタとシリアルばかりの生活だった。つい先日まで、肉なんてたまに買う冷凍ピザのサラミぐらいでしか食べてなかった。
それから水分。痛風を予防するためには水を毎日2リットルぐらい飲むことが推奨されている。おしっこをがばがば出すのが良いんだ。
コーヒーもお茶もたしなまない僕は、飲み物と言えば水だ。喉ごしすっきりが良いんだ。1.5リットルのペットボトルなんてあっという間に空になる。
そして運動。意外に思うかもしれないが、激しい運動は痛風に良くない。身体を動かすエネルギーを生み出すときに、副産物として尿酸も同時に生成してしまうからだ。
これも問題ない。あいにく、球技のような激しい運動をする機会は最近の僕にはほとんどない。デンマークのカルーホイスコーレでは毎週何かしら走り回って遊んでいたのが懐かしい。
正直、生活習慣の何がいけなかったのかよくわからない。でも実は、日本にいるときから尿酸値はずっと高めだった。だから今のこの症状はやっぱり痛風なんだろうと思う。
1,300円のジーンズを履いて、1泊420円のホステルで、ただトマトソースをかけただけのパスタを食べていた。
そんな僕は、贅沢病です。
果てしなく遠いトイレへの道
さて、現実の問題に戻ろう。
足の痛みは厳しい。それでも、我慢できないことはない。
幸い、ウェブサイトによると痛風の発作は1週間ほどで自然に治まるらしい。ならば1週間耐えてみよう。今より酷くならなければ大丈夫、しのげる。
次に食糧事情だ。
水は昨日1.5リットルペットボトルを2本買っていたので、まだ3リットル近くはある。牛乳が1リットル。とりあえず2日分には十分そうだ。
ただ、食べ物のほうは、手を加えずに口にできるのはオートミール約500グラムしかない。ストックが少し心もとないが、まぁ食事は2,3日抜いても平気だろう。ダイエットみたいなもんだ。
そして、最後に立ちはだかる難関がトイレだ。
日本を離れてからこれまでは、住んできたところも泊まったところも全てシャワーやトイレはシェアだった。それが当たり前だったし、それ以外の選択肢はなかった。
普通、ホステルのトイレは共用で、部屋の所在によっては階段を上り下りしなければトイレにたどり着けない場合も多い。
その点、僕は実に幸運だった。先週、思いがけずに宿を移動することになったのだが、移動先のホステルにはなんと全部屋にトイレが付いていた。
部屋ごとにトイレが設えてあるだなんて。プライベートトイレ。何とセレブな響きか。こんなの、贅沢病にかかっても仕方がないじゃないか。
と、実に幸運な環境にいるわけだが、それでも移動は楽ではなかった。ベッドの端までは這って行けても、そこから床に降りるために一度は必ず足が宙に浮く状態になる。血流が一気に変わるのだろう。うめき声が抑えられない。
プライベートトイレがあって良かった。
バスルームの床を這いながら切にそう感じた。
それからどうなの3日間
しんどかった日曜日をしのぐと、状態は徐々に快方へ。
月曜日は黙って横になっていればやり過ごせる程度の痛みになった。
火曜日は手すりなどに摑まれば歩けるようになった。
そして今日は、足を引きずりながらも最寄りのスーパーマーケットに買い物に行ってきた。
よし、着実に良くなっている。このペースで行けば週末には普通に歩けるようになっているだろう。なっているかな?なっていると良いな。
それではみなさん、おやすみなさい。
参考サイト
三和科学研究所 高尿酸血症・痛風
歳はアラフォー、性別は男。風薫る季節、北の大地で生を受ける。家庭なし、収入なし、計画性なし。まだ知らぬ場所での生活にあこがれて旅立ってしまったアラフォーマン。
2019年5月に日本を離れ、デンマーク、リトアニア、ジョージアなどで学校に通ったりしながら過ごす。2024年9月現在、日本語を教えるボランティアとしてベトナムに滞在中。
好きなもの:公園、散歩、ジャグリング
苦手なこと:料理、おしゃれ、あと泳げません
コメント
海外で体調が悪くなるとそれだけで大変なのと
メンタルにもきますよね(^^;)
お大事にしてくださいね!
痛みが続くようだと病院に一度いってみるのもいいと思いますよ
ドーレくん、ありがとう。今はほとんど平気になりました。
もし悪化したら、、って思うとすごく不安になりますよね。
痛風の原因のプリン体は要因の3割で、
実はストレスが大きく関わっていると聞きました…
一番恐れる病気…
海外での激痛お疲れ様です。
お大事に!!
土佐さん、ありがとうございます。
へぇ、そうなんですね!それならプリン体なんて気にしないでパクパク食べちゃった方が、ストレス管理的にも良いですね。おかげさまで、だいぶ元の生活に戻ってきました。