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アラフォーからの挑戦状。

急転直下のサヨナラを

こんにちは、アラフォーマンです。
今朝、宿の女将さんとの会話で急遽スヴァネティにある名も憶えられぬ村を離れることが決まりました。出発は明日の朝です。

今日が最後の日

最後の日と言えど、僕のすることは普段と変わりません。天気が良いので川沿いで読書を満喫して、活字に疲れたらちょっと目を閉じて休憩です。だって他にすることないですもんね。

スヴァネティに来た7月末には「夕方は涼しいな」ぐらいに思っていたのですが、数週間でめっきり秋も深まり、朝や夕方は寒いぐらいになりました。朝は長袖シャツの上から厚手のパーカーを重ねています。まだ8月だというのに、さすがは山の中の村です。

18時前頃、太陽は西に連なる山々の向こうへ去っていきます。空はまだしばらく2時間ぐらいは明るいままなのですが、日光が当たらなくなると体はやっぱり寒いんです。気持ちよくまどろんでいたのですが、お目覚めです。そろそろ帰る時間ですね。

宿までの道を歩いていると、いつものように少年たちの声が聞こえてきました。今日も元気に遊んでいるようです。
僕のここでの夏休みは今日で終わり。今まで遊んでもらったお礼と挨拶をしに行きましょう。

いつもの広場で小中学生5人が話していました。僕も輪に混ざり、おもむろに別れを告げます。
「急なんだけど、明日引っ越すことになったよ」
結構驚かれるかと予想していたのですが、言われた彼らは、「え、明日?」という雰囲気こそあるものの、なんだか割と平然としています。

そう言えばそれもそのはず、当初は8月末にリトアニアに行くと言っていたのでした。彼らにしてみれば予定通りのお別れですもんね。驚きが少ないのも納得です。
それがたとえ僕にとっては予定総崩れの旅立ちだったとしても、彼らには関係ないことですもんね。

リーダー格の少年が、「明日かぁ。じゃあ最後にサッカーしようか」と誘ってくれ、いつものようにサッカーをしました。3人ずつのチームに分かれて試合をして、結果は7対5で僕らのチームの勝ちでした。
ありがとう。最後に良い思い出になりました。

去り際のタイミング

サッカーが終わった後、近くの水飲み場に移動して話していました。話していたと言っても、僕には彼らの会話はほとんどわからないんですけど。
まぁそれもいつものこと。一緒にいるのは楽しいけれど、やっぱり言葉の壁は大きいもの。あまりくっつきすぎて気を遣わせるのも嫌なので、適当なところで輪から抜けて帰るのがお決まりのパターンです。

頃合いを見計らっていると、彼らが移動を始めました。
よしよし、ここが一番去りやすいタイミングです。あとは、いつもの「ありがと。またね」の代わりに、いつもと少し違う「さようなら」を言うだけです。

でも今日は、僕がさようならと言おうとしたとき、一番年下の男の子が「ついておいで」と繰り返しました。僕の知らない単語を連呼しながら手招きしています。
ついて来いって、ええと、いいけど、一体どこに行くんだい?

行き先はすぐ隣の彼らの家の庭でした。庭と言っても相当広いのがこの辺の家のお約束です。

庭に到着するなり、彼らは散り散りに去っていきました。
2人で残された僕と一番年下の男の子で、縄跳びしたりして遊びます。一体なんだと言うんでしょう。

「とうもろこし、美味しい?」

数分して、女の子たちが帰ってきました。
背負っていたリュックサックを開けると、採れたてのとうもろこしが詰め込まれていました。おお、これから食べるの?

また少しして、男の子たちが帰ってきました。手には木の枝を抱えています。それをどさりと下ろした辺りには、炭化した燃えカスが残っていました。
あぁ、わかった。これからたき火をするんだね。

家のお庭でたき火をしよう
家のお庭でたき火をしよう

やっと状況をのみこんだ僕。一緒に枝を折ったり薪を割ったりたき火の準備を始めます。

小さな薪から火を着けて、段々と大きな枝にも燃え移り、気付けば辺りはどんどん暗くなり、続々と近所の親子が集まって、半そでの子は上着を着こみ、サンダルの子は火花を食らい、風向きが変わると煙を避けるため移動して、気付けばとうもろこしが真っ黒に焦げていて。

たき火と言えば、少し、カルーホイスコーレの日々も思い出していました。
ところ変わり、やり方が違えど、僕はやっぱりたき火が好きです。暗い中みんなで火を囲んで話していると、じんわりと心が明るくなるんです。

途中、焼けたとうもろこしを僕に手渡しながら、男の子が聞きました。「おいしい?」って。

このとうもろこし、日本で食べているのとは結構違います。率直に言うと、甘みも味も全然ないし、食感はシャキッとしておらず、なんだかグニュって感じ。正直なところ、好みではないはずです。

でもね、おいしいよ。不思議だね。おいしいんだ。
どこをかじっても味なんかしない。それでも、この味を忘れることはできないよ。

夜とたき火ととうもろこし
夜とたき火ととうもろこし

コメント

  • 北海道なのでご存知かもしれませんが、トウモロコシは皮のついたまま焼くと粒の一つ一つに程よく火が通り、みずみずしいまま、甘みが増します。是非お薦めです。

  • Ichiさん、こんにちは。
    僕もトウモロコシは皮をむかずに熱する方が好きです!美味しいですよね。デンマークのカルーフォルケホイスコーレはすぐ隣に農業学校があって、そこの採れたてのトウモロコシを焼いて食べました。とっても甘かったです。また食べたいな。

  • 夏休みの一期一会。きっと子どもたちにとっても記憶に残るオジサンだったんじゃないかな。

    そんでいまはどこに?

  • ぐっちさん、こんにちは。
    子どもたちにはたくさん遊んでもらいました。あんなおじさんもいたねって、いつか思い出してもらえたら嬉しいですね。
    今はジョージアのボルジョミという町にいます。

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