日本人が習得しやすい言語ランキング
こんにちは、アラフォーマンです。
今日は言語習得の難しさについて考えてみました。
言語習得の難しさ
外国語を学ぼうとしたことのある人なら、「どの言葉が一番難しい(簡単な)のだろう?」ということを一度は考えたことがあると思います。
「英語の音と綴りとの乖離がひどい」
「ロシア語の格変化が複雑すぎる」
「アラビア語の文字の難度もさることながら、発音すらできない音がある」
など、色んな言語がその習得難易度の覇を競いあっています。
僕らの話す日本語も、「漢字が多かったり、敬語が複雑だったりで難しい」という意見を聞いたことがありませんか。
一番難しいは決められない
実は、言語自体に複雑さの違いは存在するものの、一番難しい言語というものを絶対的な基準で決めることはできません。それは、学習者の母語が何であるかによって難易度が変わってくるからです。
一般的に、「話者の母語と学習言語との類似性が高いほど習得が容易で、相違点が多いほど習得が困難である」と言われます。
僕らが若い頃から苦労し続けている英語は、ヨーロッパ系の、特にフランス語話者やオランダ語話者はあっという間に習得してしまいます。逆に、日本人が比較的容易に身に付けられると言われる韓国語は、あちらの方たちからみると非常に複雑な言語とされるようです。
これは、英語と韓国語を比べてどちらが難しい、易しいという話ではありません。日本語から見て、どちらの方が近い言語かということに起因します。
日本人が習得しやすい言語
絶対的に難しい言語は決められませんが、特定の言語話者を想定して習得の難易を比較することは可能です。
さて、僕たち日本人にとって、最も習得の難しい、もしくは簡単な言語とは何でしょうか。これについて、偉い方たちがまとめてくださった順位を参考にさせてもらいました。だいたいみなさん4段階ぐらいに分けているようです。
ランキング
日本人にとっての習得難易度を4段階にグループ分けしました。
グループ1 易しい | 韓国語、インドネシア語、スワヒリ語 |
グループ2 比較的易しい | トルコ語、スペイン語、中国語、ベトナム語 |
グループ3 比較的難しい | 英語、フランス語、ドイツ語、タイ語、ギリシャ語 |
グループ4 難しい | ロシア語、ポーランド語、ヒンディー語、アラビア語 |
この表を見ると、ヨーロッパ系の言葉は全体的に難しいが、その中でも特に難しいのはスラブ系だということがわかります。逆にスペイン語は比較的簡単なようです。
また、類似した語彙を持つ中国語・韓国語や、語順の同じトルコ語・韓国語、文法の易しいインドネシア語が習得しやすいようです。
個人的にも納得できる結果になりました。だいたい僕の感覚とも合致しています。ロシア語の習得に時間がかかっているのも宜なるかなというところです。
参考にさせていただいたサイト
英語に挫折した人でも習得できる外国語って? 外国語教育のプロに聞いた
アメリカ人から見た言語習得難易度
次の図はアメリカ人(英語母語話者)にとっての言語習得難易度を示しています。
彼らにとってはヨーロッパ系の言語、特にゲルマン系、ロマンス系の言葉は習得が容易なようです。スラブ系の言葉は彼らにとってもそれなりに難しいのですね。
逆に、とても難しいとされている言語としては、中国語、韓国語、アラビア語、そして日本語が最高難度として位置づけられています。
日本語は彼らにとってそんなに習得が大変な言語なのですね。これから日本語を勉強している外国人と出会ったら、すごく優しい気持ちで応援したいと思います。
また、前マップを見ていて一つ気付いたことがあります。難易度3以下に属する言語は全てラテンアルファベットを用いる国。彼らにとって、新しい文字を学習するということが如何に大変かがわかりますね。
言語相関の要素
それでは、言語の近い、遠いを測る尺度にはどのようなものがあるでしょうか。
様々な視点があるのですが、ここでは僕自身の経験からの意見を紹介します。
なお、僕の学習した言語は次の通りです。
話せる:英語
少し話せる:デンマーク語、ロシア語、リトアニア語
多少わかるが話せない:セルビア語、エストニア語、中国語、インドネシア語、グルジア語
デンマーク語、ロシア語、リトアニア語、セルビア語、エストニア語は現地で学校に通って勉強しました。この他、旅行の準備などで本当に少しだけ触れたものは、タイ語、韓国語、フィリピン語、イタリア語などがあります。
語順
語順はとても重要な要素です。最後に核心となる述語で締める日本語と、後からどんどん要素を付け足す英語とでは、物事の考え方からして大きく異なってきます。
大きな枠では動詞が先に来るSVO型か、動詞が最後に来るSOV型かといのがありますね。細かいところでは、名詞や動詞を形容する言葉が先に来るか後に繋げるか、否定や疑問をどの位置で示すかというものなどがあります。
母語と異なる語順の言葉で会話するときには、母語に翻訳しながらの会話は成り立ちません。その言葉のまま理解して操る必要があります。
そうでなければ話すときにも文法がめちゃくちゃになりがちですし、聞くときも相手の話す言葉の順番に意味を飲み込まなければ理解が追い付きません。英語は英語のまま聞けと言われるのはそのためですね。
日本語は動詞が最後に来るSOV型ですね。この語順の違いが、日本人が英語を流暢に話せない最大の原因ではないかと思います。
韓国語は日本語とほぼ同じ語順、トルコ語もかなり日本語と近いと言われています。
ちなみに、多くの言語では基本的な語順と言うものは存在するものの、比較的自由に単語の順序を入れ替えることができます。日本語では、主語、目的語、副詞の順序を入れ替えても全く同じ内容の文章が作れますね。助詞がその単語の意味を示しているからです。ロシア語なんかも同様です。
英語は語順に関してとても厳しい言語の一つです。
語彙
何かを言葉で表すとき、何はともあれ語彙がないと始まりません。難しい専門的な単語を知っている必要ありませんが、日常会話に出てくる基本的な単語は知っている必要があります。語彙力がなければ話すのも聞くのもままならないでしょう。
似てる単語が多いほど、語彙の習得は容易になります。
実はお隣の韓国語には日本語と同じような音の単語がたくさんあります。どちらも古い時代に中国から言葉を輸入したからですね。
その本家中国とは、音こそ現代ではかなり違いがあるものの、文字としてはほとんど同じです。日本語話者なら学習しなくても理解できる言葉がたくさんあります。
ちなみに、英語は言語グループ的にはドイツ語から分岐した言葉ですが、フランスに占領されていた歴史もあり、ドイツ語よりフランス語から入ってきた単語が多いです。
発音
音の難しさには、自分が発声するときと相手の言葉を聞き取るときの二つの面があります。どちらも幼いころに馴染んだ音による部分が大きく、後天的に身に付けようとすると非常に難易度が高いスキルです。
音素
音を考えるとき、どうしても日本語の五十音の近い音に当てはめてしまいがちです。
英語のseaもsheも「シー」と認識してしまいますよね。しかし、BとV、LとRを間違えるだけで途端に相手に伝わらなくなります。母音もしかりで、hat, hot, hutなどが全て違う音だと言われても僕らにはピンときません。
また、子音だけで作られる音というのが日本語にはありません。
例えば英語のstrengthが一音節の単語だと聞いても何のことやら。勝手に母音を組み合わせて「ストレンクス」と読んでしまいがちですね。
中国語などで出てくる有気音、無気音なんかも日本人には難しいところです。逆に、中国人は日本語の濁音、清音の区別が苦手です。
リズムやイントネーション
日本語は高低のイントネーションで意味を区別しますが、アクセントはほとんど使いません。英語はアクセントでリズムを作り、リズムで理解する言葉ですから、リズムが悪いと聞き取ってもらえません。
ですが、リズムを作ること自体に慣れていないのに加え、子音の連続や日本語に無い音(口と舌の動き)があるため、リズムがバラバラになり勝ちです。
また、同じ高低イントネーションを持つ中国語でも、日本語より音が短くて激しい高低差を持つ中国語も、やはり日本人にとっては難しいですね。
文字
文字については、日本人はここで苦戦することはほとんどないと思います。どんな言語の文字でも覚えられるでしょう。
逆に、日本語、中国語が難しいとされる理由がその文字の多さです。常用されるだけでも何千種類とある漢字を覚えることは、非漢字圏の国にとっては至難の業です。
アメリカで英語を教えている先生が話していました。彼女の教えている生徒は移民、難民の高校生が主で、母国語も英語もある程度喋ることはできても、しっかりと習ったことがなく正しくは使えないのだそうです。そんな生徒達が最も苦戦するのがアルファベットの習得だと言います。
英語で用いるラテンアルファベットは26種類、大文字小文字を考慮して52種類です。この程度を理解できないの?と思わず驚きそうになりますが、「一度も文字を習ったことのない子供たち」は、文字を覚えるという課題に大してのハードルが非常に大きいのだそうです。
そう考えると、僕たち日本人は、新しい文字を習うのにもアドバンテージを持っていることも納得ですね。小学校から高校まで、毎週何文字も新しい漢字を覚える訓練を積んできましたから。
ギリシャ文字だろうとヒンディー文字だろうとアルファベットは高々数十種類ですから、覚えられない訳がありません。これまで見てきた中で一番難しいと感じたのはアラビア語ですが、それもちゃんと勉強すれば割と短期間で身に付けられると思います。
考え方の文化
言葉はその人の考えを表す方法です。そして、人の考え方は、その人の育った文化によって大きく左右されます。
「日本語ならこう言いたい」と言う状況であっても、対応する表現がその言葉には無いかもしれません。そのまま翻訳しても、無理矢理感のある不自然な表現になるかもしれません。
考えたことをそのまま訳せないと言うのはちょっとしたハンデになります。
日常生活の至るところで文化の違いによる細かな違いがあります。
例えば、日本語の「好き」は動詞ではなく形容詞です。窓は「閉められている」ではなく「閉まっている」です。自分が何か影響を及ぼす他動詞よりも、そのもの自身が自然と何かの状態にあるとする自動詞系の表現が多いのも日本語の特徴です。
「ありがとう」に対する各言語の返しの言葉には分かりやすい個性が出ていると思います。
英語 ··· You’re welcome. あなたを歓迎します。
ロシア語 ··· Не за что. 何でもありません。
インドネシア語 ··· Sama-sama. 私もあなたと同じです。
中国語 ··· 不客气。遠慮しないでください。
では、日本語の「どういたしまして」はどういう意味でしょう?
字面を見ると「ええ、やってあげました」という感じですが、本来「大したことはしていません」ということらしいです。ロシア語系の返し方でした。
あなたはどの国の返し方が好きですか?
難しさを決めるその他の要素
上では母語との関係により決まる難易度について述べましたが、その言語が持つ絶対的な難しさというのもあります。
文法規則の複雑性
文法が複雑であればあるほどもちろん習得は難しくなります。聞き手の時はまだ良いのですが、自分が話そうとすると、たくさんのルールを覚えなければうまく相手に伝えられません。
文法事項としてよく挙げられるのは、例えば、格変化、名詞の性、動詞の活用、助詞、冠詞などです。
ロシア語は格や名詞の性などがあり、複雑な言語として有名です。アラビア語も複雑な文法規則を持ちます。そのため、これらの言語は英語話者から見ても日本語話者からみても難しい言語とされています。
逆に、インドネシア語はかなり文法に緩い言語で、覚えることも少なく短期間でマスターすることができます。
一方で、これらの規則は、マスターしてしまえば聞き手・読み手の理解を助けるメリットがあります。助詞を正しく使えれば語順はかなり自由に入れ換えられますし、主語によって動詞の形が変わることで主語を省略して話すこともできます。少ない言葉でより多くの情報を伝えられるようになるのです。
文法規則が緩い言葉は理解の仕方に幅があるので、誤解の生じないよう話し手・書き手が正しく説明する必要があります。
綴りと音の乖離
実際に発音されている音と記述される文字に乖離がある場合、言葉を覚えるスピードが遅くなります。
これは英語の欠点としてよく言われますね。
one, two, three, for, five なんかも知っているから読めるものの、何も前知識のない状態では音を推測できません。oの文字一つとったって、「ワ」「ゥー」「オ」と全く違う音が当てられています。
日本語も、漢字の読みに数通りあることが学習者の負担になっていますね。何千字もある漢字がそれぞれ幾通りの読み方があるなんて、と途方に暮れてしまうようです。
また、穏便変化(「っ」や「ん」に変わること)や濁音化なども難しいみたいですね。
この、綴りと音の解離については、文字を発明した言葉では小さく、文字を輸入した国では大きくなります。言語が元々持っている音と文字が表せる音が異なるからですね。
英語はラテン文字を採用し、英語古来の言葉に加えラテン語やフランス語、ギリシャ語などから言葉をたくさん取り入れたているめ、もう滅茶苦茶です。
漢字は、中国語であれば読み方は一通りになりますが、日本語では読み方に幅がありますね。一方、日本語を表現するために作ったひらがな、カタカナではほとんど文字通りに発音します。
その他の文字も同様です。
キリル文字を使っている言葉はロシア語が有名ですが、元々はブルガリアで生まれた文字らしく、ブルガリア語を表記するときには文字と発音がそのまま対応するそうです。
例外の多さ
当たり前ですが、学習において例外が多いほど習得は困難になります。規則で説明できないことは丸暗記するしかありません。
一口に例外といっても、発音、表記、文法、活用など色んな要素があります。
学習者に言わせると、日本語は例外が豊富にある非合理的な言語だそうです。
例えば「7時7分」。この言葉を、あなたは何と読みましたか。ナナとシチの使い分け、規則で説明することはできますか。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。本日は言語習得の難しさについて考察してみました。
同じ日本語話者でも発音が苦手、単語が覚えられないなど得手不得手もあると思いますが、参考にはなると思います。「何の言葉を学んでみようかな」なんて悩んでいる方は、ぜひこの習得難易度表を参考にしてみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
それでは今日はこの辺で。
歳はアラフォー、性別は男。風薫る季節、北の大地で生を受ける。家庭なし、収入なし、計画性なし。まだ知らぬ場所での生活にあこがれて旅立ってしまったアラフォーマン。
2019年5月に日本を離れ、デンマーク、リトアニア、ジョージアなどで学校に通ったりしながら過ごす。2024年9月現在、日本語を教えるボランティアとしてベトナムに滞在中。
好きなもの:公園、散歩、ジャグリング
苦手なこと:料理、おしゃれ、あと泳げません
コメント
拝見させてもらいました。参考にさせていただきます
主さんの人生にリスペクトを送りたいです。現在私はLAで大学に通っています。主さんの人生を簡単に今想像したとき私の中のものさしじゃ図れないほどの様々な経験を味わってきたのが想像できました。
これからもまだ見たことのないものへの出会いを楽しみにしながら、
人生を共に謳歌しましょう!
by 18歳のガキより
Yuyaさん、こんにちは!
まだ見たことのないものへの出会い、良い言葉ですね。LAの学生生活は大変なこともあるかもですが、たくさんのことを見て、めいっぱい楽しんでください!